にんにくを刻むとき
行きつけの肉のハナマサではスペイン産の紫にんにくが、ひとつ100円ぐらいで売ってる
青森県産のはだいたいひとつ298円ぐらいして、非常に香りも強くて良いが、粒数が少ないので俺みたいに割と頻繁に使う場合、コスパがあまりよくない、にんにくにパフォーマンス求める人間まわりにあまりいなそうだけど、この調子で続ける
3個で198円の中国産のものでも構わないが、こちらは逆に、一人暮らしだと粒数が多く、なかなか消費しきれなくて困ってしまう
中国産のものは、一粒一粒が不揃いで柔らかく、使う前から茶色くダメになっている奴が多いので、間引くのも手間だったりする、
その点、紫にんにくはどういう訳か粒数が多く、実もしっかりと固くて、使い勝手が良い。けっこう安い割に手に入ったときの無敵感はハンパない、思わず肩で風を切って帰ってしまう
ルーティン様の生活をしていて、にんにくを刻むとなると、使いみちはだいたい数パターンに収束する
スパゲティ・ミートソースの類を作るときか、マッシュルームのガーリックオイル焼きをするときか、パエリア系のご飯を炊くとき、大枠この3つに限る
1つ目は説明不要だと思う、にんにく玉ねぎ人参で適当にソフリットを作り、平行でハンバーグ状に捏ねた牛合いびき肉を、鉄フライパンで焦げ目がつくまで焼き、2つを片手鍋にてマージする、そこに赤ワイン、トマト缶、ハーブ数種類とあと隠し味で砂糖とかナンプラーとか少し入れて煮込んで成立させるアレ
説明しちゃったな
2つ目と3つ目は、昔バイトしていたスペイン料理屋でシェフの腕を見て覚えたレシピで、家で繰り返し作って再現性を結構高めた、味はかなり近いところまで来たと思う
ここから先の完成度を高めて安定化させるのが本職シェフなのだろう
料理って見よう見まねで作っても再現性ないことが多いところが本当に不思議で、でも完成品の定義を自分の中で持てるようになると途端に上手くいく確率が跳ね上がる
ある時点で気づきが生まれると急に上達するので、成長曲線が変な形していて面白い、思ったようにいかないことも多く、いろいろ試してその一皿の背景にある原理原則を理解しようとするのが大事な姿勢だと思う
熱々のオリーブオイルに、にんにくとパセリと具材が浸かっていると一般に「〜〜のアヒージョ」と言われがちだが、件のシェフによるとそれは違うらしい
にんにく(aho)と唐辛子で風味を移したオリーブオイルで食材を調理し、香り付けにシェリー酒を使ったものでないとアヒージョ(ahijo)とは言わないって言ってた、これが本当に正しいかどうかは知らないが、専門家が言うのならそうなのだろう
お店でエビのアヒージョを出すときは、仕上げに真っ赤になるまでパプリカパウダーを振っていて、非常に良い風味だったのを覚えている
マッシュルームのガーリックオイル焼きという名前は、香り付けにシェリー酒じゃなくて白ワインを使っているので、あえて名前を分けているとか、そういう理由だったと思う
料理にはこういう言外のルールや、原理原則がいっぱいあるようで、本当に追求すると各食材の歴史や文化的背景、化学の世界に入る羽目になる、そうなると時間がいくらあっても足りないので、あくまで趣味に留めることにしてる
にんにく系の料理に必ずといっていいほどパセリがついてくるのは、彩りもそうだがパセリの持つ消臭効果を狙ったものだそうで、とても理にかなっている、
にんにくを刻むときはだいたいそういうことを考えている